2013/04/02

味噌とラップと線量計








福島のママの保養所に遊びに行きました。

場所は奈良県、高取町、上子島の集落。
いわゆる古民家を修繕した(しつつある)場所です。



保養所といっても、完成した施設ではなく、
これから福島のお母さんたちといっしょに
完成をさせていく、そうした途上の家です。
また、保養所だけが目的なのでもなく、
さまざまな目的に開かれた家です。
金銭を目的とした完成形を「与える」
のではなく、互いに「与え合う」ということ。
そうしたこれからの日々のありかたを模索する場所です。

今回おとずれていたのは、福島のいわき市のママ二組。
それぞれ子供たち二人ずつ、計六人と、大人数では
なかったのですが、四人の子供たちのパワーで
家は大変な騒ぎなのでした。

近くで見つけたカメを連れて帰って
「ここで飼うんだ!」とカメの家(?)を作ったり、
水たまりでカエルを捕獲したり、
ひとときも休まるときがありません。
僕も子供たちの指示のもと、
カエル捕獲を手伝ったりしました。



完全に春うららかなのどかな一日でしたが、
いわきでは、子供たちがこうやって一日中
外で遊べないのだと聞くと、複雑な思いがします。
ママさんたちにあまりくわしく話を聞かなかったのですが、
はしばしに、「僕らの日常」と「福島の日常」を
感じる瞬間があり、思うところがあります。

午後からは、高取産の豆を使ってみそづくりをしました。
みその作り方を教えてくださるのは、
明日香の古民家宿、「森羅塾」のシェフ、高橋さんご夫妻です。
はじめは子供たちにも手伝ってもらったのですが、
どうもこころはカメに夢中で、子供たちは途中で脱落。
大人だけでみそづくりにいそしみました。



みその作り方は難しくありません。
ゆでた豆をつぶして、豆1キロ、こうじ1キロ、塩400~500gの割合で
混ぜます。豆のゆで汁も少量加え、ほどよい硬さに、
均一にまざるように、手でこねていきます。

森羅塾さんの持って来てくださったこうじが、
もうそれだけで甘いいいにおいがただよって、
このこうじで、うまい味噌ができないはずがありません。
熟成まで半年。できあがった味噌が楽しみです。
全部で豆8キロ分のみそを仕込んだので、かなりの量です。



熟成させるみそはみそ壺に入れました。
できるだけ空気に触れさせない方がよいということなので、
カメの口にラップをかぶせてふたをします。
完成したみその仕込まれたつぼ。
この中に4キロちょっとのみそがあります。
そしてつぼの手前にあるのが線量計です。



「みそ」という日本のふるきよき暮らしにあこがれつつ、
「ラップ」という便利なものに手をのばし、
「線量計」という得たいの知れないものとともにある僕ら。
一種異様な世界に僕らは生きているのだなあと思いました。